- 2011-08-09 (火) 18:11
- DBCLS
GGRNAの活用事例を「塩基配列編」と「アミノ酸配列編」に分けて紹介しています。今回は「アミノ酸配列編」です。
Figureに出てくるアミノ酸配列を検索
「塩基配列編」と同様、論文のfigureなどに登場するアミノ酸配列をすばやく探せます。
Schaefer et al. IV. Wilson’s disease and Menkes disease. Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol. 276, G311-G314 (1999) より引用
上の図だと「aa:MTCQSC」(→GGRNAで検索)とか「aa:MHCKSC」(→GGRNAで検索)のようにアミノ酸配列の一部を入力すれば出てきます。なお、GGRNAでは大文字/小文字を区別しないので、「AA:mhcksc」などと入れても結果は同じです。
遺伝子を探すという目的だけでなく、配列がどこにあるのかを調べるのにも役立ちます。図に示されているアミノ酸配列を
「aa:MTCQSC aa:MHCKSC aa:MTCASC aa:CPC aa:DKTGT aa:SEHPL aa:GDGVND」
のように全部入力して、その位置を調べることも簡単にできます。(→GGRNAで検索)
caspaseによる切断部位の検索
caspaseはアポトーシス誘導に関与するシステインプロテアーゼの総称で、特定のペプチド配列を認識して切断します。GGRNAのアミノ酸配列検索を使えば、切れると予想される遺伝子と切断サイトがわかります。下記はcaspase-3とcaspase-8の例。なお、GGRNAでは大文字/小文字を区別しないので、「aa:DEVD」と入れても「AA:devd」と入れても結果は同じです。
アミノ酸配列のなかのIETDが緑色にハイライトされている下のところに、AA position 731 のようにヒットした位置が表示されています。ただしこの数字はcaspaseで切れる位置(D)ではなく、ヒットした場所の先頭(I)の位置です。
いちばん下の Data Export: というところから結果をタブ区切りテキストで保存し、他のソフトで利用することもできます。
小胞体局在化シグナルの検索
小胞体局在化シグナル「aa:KDEL」をもつタンパクをGGRNAで検索。今回はマウスです。
314件がヒットしています。ヒットした遺伝子が実際に小胞体に局在しているか調べてみましょう。検索結果のページの最下部にあるタブ区切りテキストをエクセルにコピペします。
次に、DAVID(http://david.abcc.ncifcrf.gov/)というサイトにアクセスします。DAVIDはユーザの遺伝子リストをアノテーション情報をもとに解析してくれるサイトです。
画面上部の「Start Analysis」タブをクリック。
先ほどのExcel画面からA列のRefSeq IDをコピーして、DAVIDのページの「Step 1: Enter Gene List」にある「A: Paste a list」の下にペーストします。「Step 2: Select Identifier」では「REFSEQ_MRNA」を選択します。「Step 3: List Type」は「Gene List」をチェックして、Submitします。
左側のGene List ManagerにMus musculus(286)と表示されています。読み込んだリストがマウスの遺伝子として処理されたようです。画面中央あたりのFunctional Annotation Chartに進みます。
「Gene Ontology」というところをクリックして展開します。中ほどの「GOTERM_CC_FAT」がGene OntologyのCellular Component、すなわち細胞内での局在による分類です。
GGRNAでヒットした遺伝子群は、確かに小胞体(endoplasmic reticulum)関連に局在している遺伝子がエンリッチされているようです。ちなみにヒトで同様の解析をすると、
- non-membrane-bounded organelle
- intracellular non-membrane-bounded organelle
- cytoskeleton
- endoplasmic reticulum lumen
の順番で、トップではないものの小胞体関連がやはり上位にランクされていることがわかります。
植物のペプチドホルモンの検索
植物のペプチドホルモンをシグナル配列から検索(@hkanekaneさんより)。
- CLV3 →「aa:PDPLHHH」(→GGRNAでシロイヌナズナの遺伝子を検索)
- RGF →「aa:PPRHN」(→GGRNAでシロイヌナズナの遺伝子を検索)
この短さだとBLASTは上手く使えないとのこと。4アミノ酸くらいまでの短い配列の検索はBLASTよりGGRNAのほうが圧倒的に得意です。ただし、あいまい検索はできません。将来はアミノ酸配列のあいまい検索もできるようにしたいです。
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今後もGGRNAの活用事例(アミノ酸配列編)をこの記事に追記するかたちで増やしていく予定です。GGRNAは研究の現場(とくにウェットな現場)で役立つサイトにしていきたいので、ご意見やご要望をいただければありがたいです。このブログのコメント欄や、Twitter の @meso_cacase までよろしくお願いします。
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